異文化のはざまで。お寿司とおにぎりの間、、、。         マシマ・アキコの一口メモ

  私事、国連開発計画(United Nations Development Programme)という国際連合の中で、発展途上国に技術援助を行っている機関において、Programme Officer (援助プロジェクト担当官)として、5年余勤務した。3年間は、ニューヨーク本部で、2年余は、バングラデッシュのUNDP officeで勤務した。それぞれ国籍の事なる、我々プロジェクト担当官は、その当時、10名。それに対し、諸々の事務的仕事を、200名からなるバングラデシュの方々が、担ってくれていた。他に、それぞれのプロジェクトに対して、WHO、ILO、FAO、WFP、UNICEF、UNESCO等の専門機関から派遣された専門家の方々と、共に、日々仕事をするわけで、本当に国際色豊かな中での毎日の仕事であった。

 

 そんな中、週末には、お互いを招待して、パーティが開かれる。私も、自宅にお仲間を招いて、時折、パーティを催させていただいた。さるパーティで、日本食を振る舞う事にした。日本食といえば、お寿司!日本と同じ魚の種類が、有るわけでは無いお国であったが、地元のものを工夫して、とにかく寿司パーティーを開く事にした。

 お昼頃から、夕方のパーティの為に、準備に取り掛かった。問題は、そこから、始まった。ベンガル人の調理人が2名、厨房で手伝ってくれたのだが、彼らは、お寿司を見たことも、食べた事も無い。お寿司と言えば、寿司米のお酢の加減。これは、私が、味を調えるとして、いざ、お寿司を握る段になったら、大変だった。お寿司の握り方には、こつがいるのだ。ギューッと握られては、お寿司の味がしないのだ。しかし、食べたことも、見たことも無い彼らが握るお寿司は、野球のボールかおにぎりか、、、、。

 「違う、違う、そうじゃないの。ちょっと、空気を入れる感じ、、、。」と言っても、通じるわけがない。「そんなにギューッと握ったら、美味しくないの、、、。」と言われても、、、、。 鶏は、マーケットで、生きたまま、売っているバングラデッシュで、調理人の方々がいなくては、我々は、生活できない。本当に、彼らに感謝の日々。若かった私でも、一応、雇用人になるので、彼らは私の事を、マダムと呼ぶ。『マダムには、もう厨房に入って欲しく無い、、、』という目つきで、私を見る。「お願いだから、そっと握ってね。そうそう、ふぅ~。(ため息)」向こうもため息。加えて私は、茶巾寿司なるものまで、作った!!

  4時間くらい、悪戦苦闘の末、どうにか、それらしきものに、仕上がった。感謝、感謝。しかしながら、次回からは、絶対に五目寿司にしよう、と思った。

 

  たかが、お寿司談義ではありますが、見たことも聞いたこともない事柄を、人に伝える事のむずかしさを、またまた実感した日でありました!お寿司は、それなりに美味しく仕上がりました。手伝ってくれて有難う!